最低の夜に最悪の男前

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確かに最近の練習はキツい。 3時間歌い続けるとか当たり前。 近畿コンクールまであと10日しかない。 先生が厳しいなるんもわかる。 部員だって同じくらい緊張してるし、焦ってる。 名門 強豪 全国常連校と 言われてきたウチの合唱部は、こうやって厳しい練習を毎日積み重ねてきた上で成り立ってる。 長年先輩方が築いてきた伝統に自分達も続かなアカン。 今の時点であれだけ指摘されてるってことは、ウチらがダメダメでまだ甘いってこと。 心はズタズタで悔しいけど その分、部の士気が高まる大事なことや。 そうや。 ここで折れてる場合ちゃう。 ウチはまだダメダメや… 「ちょー、ひな聞いてるん~?」 「んッ、何!?ごめん聞いてへんかった。」 びくっと肩を揺らしたウチを、綾が不満そうな顔で見てた。 「また考え込んでてんろ?アカンで、ひな。自分の事あんま追い詰めたら。一人で悩み過ぎ。その癖やめよし。」 「あははー。ごめんなさい。」 ウチは苦笑いをするしかなかった。 綾にはバレてるみたいや。 「最後は先生かて『キャー。上手いわー!あんたら最高!』ってキャピキャピ喜んでてたんやから平気やって。」 「アハハッ!綾めっちゃ似てる!」 クラブ中の先生の真似をしながら綾はウチを笑わせてくれた。 もう ほんまありがとう。 .
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