-重なる想い-

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「……ひでぇ面だな」 新撰組が池田屋から凱旋したのは昼近くになってのことだった。 夜通し活動をした隊士達は疲労困憊で、屯所へ戻ってくると、各々の部屋へ戻り倒れるようにして眠りについた。 それは永倉と重傷を負った藤堂も例外ではなく、二人とも今は深い眠りについていた。 残務に追われていた土方も、本来ならば今すぐにでも休みたかったのだが、もう一件片付けなくてはならない事案があった。 朔の件だ。 原田に抱えられて池田屋から出てきた朔は、血塗れで脱け殻のようだった。 原田と永倉曰く、朔に怪我はなく、血は全て返り血であるとのことだった。 その報告に土方は安堵した。 だが、疑問は尽きない。 帰る筈ではなかったのか? 何故、池田屋に飛び込んでいった? そして、あんな状態で池田屋から出てきたが、朔の精神状態は果たして大丈夫なのだろうか。 朔の状態を確認するため、市村に朔を呼びに行かせた。 そして、土方の部屋を訪れた朔の顔を見た土方の第一声が冒頭の言葉だった。 一目で分かる。大丈夫などではないと。 土方は小さく溜め息をつくと、手にしていた筆を置いた。 「……総司はどうだ?」 「まだ目覚めません」 「……そうか…」 「それで、ご用件は?」
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