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幾度こうして独りで月を見上げた事だろう…
九条家で虐げられ、孤独に泣きながら月を見上げていた。
淡い青白い月光に照らされていると、朔は不思議と落ち着いたのだった。
「………?!」
月を見上げていた朔だったが、不意に視線を感じ、視線を月から辺りへ向けると、近くの岩に着物を着た一人の青年が座りながら、こちらを見ているのに気が付いた。
光源が月明りだけのため、少しばかり見えにくいが、それでも青年が女とも見紛うくらい細い身体に、中性的であり整った顔立ちをしているのは分かった。
そして、朔同様にくせの無い真っ直ぐな長い黒髪は結わえられておらず、夜風になびいている。
その姿顔立ちは間違なく美形に分類されるだろう。
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