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桜が光ったなど朔自身、説明が欲しいくらいだったため、何故と問われても答えられる筈もない。
何処から来たのかと言われても、朔はずっとここ、壬生寺にいる。光りの中から現れた訳ではない。
ただ、桜が光り、その光に包まれていただけなのだが…そんな非現実的な話を真面目にするのも、ためらわれた。
目の前の青年も桜が光ったと言うのだから、実際そんな非現実的な現象が起きたのだろうが、朔は未だに信じられないでいたため、有りのままを話す事に抵抗があったのだった。
(それに、着物が変わっていると言われても…)
朔は自分の服装を見下ろした。普通の黒いシックなワンピースに淡い桜色のショールを羽織り、靴は編み上げのミディアムブーツ。
今時誰でも着ているようなもので、さほど珍しいとは思えなかった。
むしろ……
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