-月下の出逢い-

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(…月明りだけだから良くはわからないけど、貴方の方が珍しいわよ。着物だなんて…)   朔は、青年の格好を頭のてっぺんから足先まで見た。   月明りだけで他に光源がないため、着物の色は分からないが、着流しに草履。腰には刀と思しき物。   明らかに不審者だ。   しかし朔はそこで、はっとした。   (ちょっと待って…光源が、月明り…だけ?)   周りを見渡せば、ある筈の街灯がない。そればかりか電線も電柱も辺りには見当たらなかった。   (…どういう事…)   朔の心臓が早鐘のように鳴り響いた。まるで目の前の青年にも聞こえてしまうのではないかと思うくらい、煩く鳴り響く。 何だか嫌な予感がするのだ。
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