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その言葉に朔は地面に座り込んでしまった。
(…嘘…だと言って…そんな馬鹿な…)
朔は余りの突拍子の無さに頭が追い付かずに、青い顔で地面に座ったまま茫然としていた。
誰だって急にタイムスリップした、なんて信じられ無いし、受け入れるなんて出来ないだろう。
朔の反応は至って当然である。
しかし、事情を知らない沖田にとっては当然の反応では無かった。
「ちょっ…大丈夫ですか?!」
いきなり青い顔をして座り込んだ朔に、沖田は驚きつつも心配になり駆け寄ると、手を伸ばした。
しかし、その手が朔に触れる直前で、朔は怯えた様に身体を強張らせると、沖田の手から逃れる様に身を捩った。
「………?!」
そんな朔を見て、沖田は僅かに表情を曇らせた。
そして、沖田が伸ばした手は行き場を失い、力無く下げられた。
「…触られるの…嫌いなんです」
朔は自分の身体を抱き締めると、消え入りそうな声で小さく、そう告げた。
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