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誰かが近付くと、無意識に身体が強張る。
手を伸ばされれば反射的に避けてしまう。
触れられたくなくて…
いつも両親と兄以外の誰かに触れられる時は、決まって叩かれたり、虐げられた時だった。
幾度も続き、いつしか身体がそう反応するようになってしまった。
「……それは…すみませんでした」
朔の言葉に沖田が謝ると、朔は首を横に振った。
別に沖田は悪くはない。何も悪いことなどしていないのだから。
(これから…どうしよう…)
朔は、今後の事を考え途方に暮れた。
どうしてタイムスリップしてしまったのか分からない。
帰り方さえ見当が付かない。それに…
(…帰れるのかしら…)
帰れるのかどうかすら不明だ。
いや、たとえ帰れたとしても…
(帰っても…居場所なんか無いのに…ここと何も変わらない…)
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