-月下の出逢い-

11/25
前へ
/1046ページ
次へ
誰かが近付くと、無意識に身体が強張る。   手を伸ばされれば反射的に避けてしまう。   触れられたくなくて…     いつも両親と兄以外の誰かに触れられる時は、決まって叩かれたり、虐げられた時だった。   幾度も続き、いつしか身体がそう反応するようになってしまった。     「……それは…すみませんでした」   朔の言葉に沖田が謝ると、朔は首を横に振った。   別に沖田は悪くはない。何も悪いことなどしていないのだから。   (これから…どうしよう…)   朔は、今後の事を考え途方に暮れた。 どうしてタイムスリップしてしまったのか分からない。 帰り方さえ見当が付かない。それに…   (…帰れるのかしら…)   帰れるのかどうかすら不明だ。 いや、たとえ帰れたとしても…   (帰っても…居場所なんか無いのに…ここと何も変わらない…)
/1046ページ

最初のコメントを投稿しよう!

8324人が本棚に入れています
本棚に追加