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(…っ!!…ダメよ…)
朔は我に返ると頭に浮かんだ考えを打ち消した。
一瞬だけ、誰にも必要とされないこの身、ここで死ぬのも良いかもしれないと朔は思った。
真実ここが幕末の世なら治安は最悪だろう。
何も分からない小娘が生き延びられるほど甘くはない。
死ねば両親や兄に会えるかもしれない。そう思うと、死さえ怖くはなかった。
しかし…
帰らなくては…
朔はまだ死ねない。帰らなくてはならない。
父と兄のために成さなければならない事がある。
九条家を守らなくてはならない。
その事を思い出したのだ。
(帰り方なんて分からない。だけど、帰らなくては…)
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