-月下の出逢い-

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「…帰らなきゃ…」   「…え?」   急に呟いた朔に沖田は朔を見つめた。 だが、朔には沖田の姿は見えていなかった。 瞳に映ってはいるが、その存在は朔には見えていなかった。ただ瞳に映っているだけ…   帰らなければ、という思いだけが朔を支配していた。   「…帰らなきゃ…」   「ちょっと待って下さい!」   空ろな顔で立ち上がった朔の腕を掴み、沖田は引き止めた。明らかに今の朔は普通の状態ではない。   「っ!!離して!」   腕を掴まれた朔は力の限り抵抗し、沖田の手を振りほどこうとする。 あまりの抵抗に沖田は顔をしかめたが、すぐに朔の異常な抵抗に思い当たった。   (あぁ…触られるのが嫌いなんでしたよね…でも…)
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