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「…長州の出身じゃなくたって、長州の手先って事はあるでしょう?」
呆れた様に朔が反抗すると沖田は、きっぱりと否定した。
「確かにその通りですが、貴女は違います。貴女の瞳…真っ直ぐで、澄んでいます。とても偽りを述べているとは思えません」
「………馬鹿みたい…」
「酷いですねぇ。これでも私は剣士なんですよ?人を見る目は確かだと思うんですが?」
朔の言葉に沖田は子どもの様に頬を膨らませた。
その姿が余りにも子どもっぽくて、朔は警戒心を僅かに解いた。
沖田は本当に裏表がないのかもしれない。
勿論そんな不確かな直感だけで信じるなんて馬鹿な事は出来ない。
だが…何がなんでも帰らなくてはならないが、帰り方が分からず、行く宛もない今、何処かに安全な住まいを見付け、帰るその日まで生きなくてはならない。
ならば…
(…利用させて貰うのも悪くはない…)
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