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朝の穏やかな光に照らされ、新撰組の壬生屯所は清々しい空気に包まれている。
しかし、屯所内のとある一室では、そんな爽やかな朝に不似合いな、不機嫌極まりない声が響いた。
「…で?総司、これは一体どういう事だ?」
不機嫌な声の主は、朔と沖田の両者と相対するように座っており、うろんげな視線を朔へ向けていた。
幕末へ飛ばされた朔が、壬生寺で新撰組の沖田総司と出会ってから一夜が明けた今、朔は沖田に連れられ、新撰組幹部の集まる部屋にいた。
朔が部屋へ通された瞬間、目の前の男は朔をうさん臭そうに一瞥すると、沖田に説明を求めたのだった。
朝いきなり叩き起こされたと思えば、局長以下、主だった幹部が沖田に呼び出されていた。
何事かと思えば、沖田が一人の女を連れて来たのだった。
それも…見知らぬ女を。
女の着ている着物が、異国のもののようであったのも気になったが、何よりもまず、何故、屯所内に見知らぬ女がいるのか…
男にしてみれば、訳が分からず、説明を求めずにはいられないだろう。
当然の反応だ。
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