-新撰組-

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だが、説明を求められた沖田は、男の形相を見て、溜め息をついてみせたのだった。   「土方さん、人相悪過ぎますよ。そんな鬼みたいな顔してたら、朔さんが怯えるじゃないですか」   「答えになってねぇんだよ、総司!」   沖田の返事に、男は更に不機嫌な声を出すと、畳を忌々しげに拳で叩いた。   そう。この男が、かの有名な新撰組・鬼の副長、土方歳三だった。   (…この人が…土方歳三…)   朔は目の前の男を見つめた。 黒の着流しを着た男は、眉間に深く皺が刻まれてはいたが、目鼻立ちは沖田に負けないくらい綺麗である。   沖田が、女性と間違うような中性的な顔立ちであるのに対し、土方は男性的な顔立ちであったが、二人とも類い稀な美形という点では同じであった。
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