凹凸~デコボコ~

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「ハハハ。わりいわりい」      篤文が必死に誤解を解くと、ノッポの男は笑いながら謝った。    瀬高亮司と名乗った彼は、篤文よりも普通に背が高く、おそらく身長は170cmを越えているだろう。だが、それでも啓太や篤文らと同じ、新中学1年生だというから驚きだ。     「笑い事じゃないぜ、まったく……」   「いやいや、元はと言えば篤文が悪いんやからな」      キャラの良さも相まって、瀬高はすぐに溶け込んだ。数m後方で彼らの母親が話しているが、どうやら母親同士も仲良くなったらしい。笑顔で会話している。    校門前で記念写真を撮り――3人でも撮ったのだが、啓太が真ん中に立たされたのは言うまでもない――校舎の中に入ると、教師陣に指示されるがままにプリントを受け取った。見ると、多くの名前が記載されている。どうやら、クラス分けのようだ。     「俺は2組や。啓太は……」   「5組。離れたな、俺たち。良かった良かった」      啓太の名前を探す篤文に、啓太は答えた。小学生のときは、3年生から6年生までの4年間、ずっと同じクラスだったのだが、中学生になるとクラス数も大幅に増え、離れてしまった。    口では、良かった等と言ったものの、やはり少し寂しかったりもする。もちろん、口には出さないが。     「ああ、ホンマやな……。お、これは……」   「うん。まさかやろ」      笑いながら、啓太は隣の瀬高を見る。    5組の名簿、千尾啓太の一つ上に「瀬高亮司」の文字があったのだ。
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