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ミナグチ先生は笑顔で挨拶すると、教壇を副担任に譲る。髪が薄くなった中年男性の挨拶に興味はない。啓太は、目の前にある壁に、顔を隠した。
「……というわけで、1年間よろしくお願いします」
副担任の挨拶が終わると、再びミナグチ先生が教壇に戻る。それに合わせて、啓太も顔を出した。
次に行われたのはプリント渡し。「go ahead~前進~」と名付けられた学級日誌・保護者向けの連絡などが配られた後、もう1枚の紙が生徒達に渡された。見てみると、どうやらそれは部活動加入の申し込み用紙であった。
「部活ねえ……」
申し込み用紙を見ながら、啓太は呟く。小学生のときはバスケ部に所属していたが、それはスピードで誤魔化していただけだった。中学になってレベルが上がると、自分の身長ではついていけないだろうと思っていた。
――どこに入ろうか……
ページをパラパラとめくり、考える。吹奏楽部、文化部は自分には向いていない。剣道部、防具が重そうだ。陸上部、走るだけというのは好きではない。バレー部、身長的に論外だ。
――テニス部か、サッカー部かなあ……
ペラペラとページをめくり続ける。最後のページに、気になる部活名があった。
「野球部、か」
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