凹凸~デコボコ~

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 放課後になり、啓太は瀬高と共にグラウンドへ向かった。バスケ部に入りたいと言っていた篤文は、体育館に行っている。    グラウンドに着くと、そこでは野球部をはじめ、サッカー部や陸上部などが既に練習を始めていた。     「あ、君たち新入生だよね。見学に来たの?」   「はい。そうです」   「じゃあこっちに来て」      おそらく野球部員と思われる、ユニフォームを来た人物が啓太ら二人を案内する。返事をした瀬高が啓太の前を歩く恰好になったので、さらにその前を歩く野球部員の姿はほとんど見えなくなった。顔を横にずらして見ると、ユニフォームの後ろには「牧山」と大きく書かれていた。彼の名前なのだろう。     「じゃあ、ここで見ててもらえるかな。監督はもう少ししたら来ると思うから、そうしたらまた挨拶してもらうよ」      牧山が示した場所には、いくつかのパイプ椅子が置かれていた。既に三人が、そこに座っている。    牧山に礼を言うと、彼は少し照れくさそうにしながら練習に戻っていった。    中学生というのはもっと大きいイメージがあり、もっと恐いものかと思っていたが、彼を見る限りは、そうでもないようだ。もっとも彼は、啓太とは一つ――もしくは二つだが、三年生が案内係をすることはないだろうと啓太は思った――しか違わない年齢だ。啓太自身も、もう中学生になったのだと思い出した。
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