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勝頼の顔には悩みの表情は消えていた。
勝頼「今ここにいる武田の者に告ぐ。儂の力だけでは、武田を栄華を誇った頃に戻すことは不可能であると考えた。だから儂は、父上の努力を無駄にしないためにも、ここに宣言する。我が武田家は上杉家に従属しその証として謙信公の軍略を学ばせるためにも、嫡子信勝を上杉家へ献上いたす。」
謙信「当主が不在なら従属も仕方あるまい。信勝が元服した時また改めて対等な立場で同盟を結びたい。」
勝頼「そう言っていただけるとありがたいです。信勝!越後にてしっかりと謙信公の軍略を学んでくるのだぞ。」
そう言い終えるやいなや、昌幸が発言を求めた。
昌幸「お待ちください!謙信公、差し出がましいようですが、私の次男の信繁を信勝君と共に連れて行ってくださいませんか?私も越後の軍法を息子に学ばせとうございます。それに、信繁は歳も信勝君と変わりませぬ。きっと良き話し相手になるでしょう。」
謙信「良かろう。うぬらが子息、この謙信が預かろう。」
信勝「父上!某は武田家を継げる立派な武将になって帰ってきます。それまで達者でいてください。」
こうして、武田の幼い当主は真田信繁と共に『龍』の庇護の本たくましく育つのであった。
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