繋がった日

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『ぁーもしもし?』 「ぁっはぃ、何でしょう?」 吃驚する程僕は呆けていたようだ 受話器からの声で我に帰った 『俺の名前は小-ガガッ-向ゆ-ガッ-希。お前は?』 電波が悪いのだろうか 名前が上手く聞き取れない程の雑音が耳に突く 「ぼ-ガガガ-はっ-ビィィィィ-すっ!!」 -ツー…ツー…- 雑音を拾いに拾った携帯は僕の名を伝える前に切れてしまった 恐らく僕の名は伝わらなかっただろう 此方が聞き取れたのはコとナタとユとキという途切れた名前と思われる意味を為さない言の葉 繋げればコナタユキ と言うものの正解であるとは思わない コナタという言の葉に此方とユキは単純に雪と与える 此方雪 携帯の変換ワードで最初に出た文字を当てただけのものだが 携帯のテキストメモに書き記し保存する ついでにさっきの見知らぬ番号もその名で登録した ふとその番号に見覚えを感じる 考え込むも何も浮かばないのに懐かしさだけが胸を満たすのが妙に不快感を煽った
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