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しかし、ママは尚も、可笑しそうに笑っている。だから、笑っている場合ではないというのに。
「心配しなくても、大丈夫よ」
優しくボクの頭を撫でながら、ママは静かに口を開いた。
「月は、ワタシ達のストーカーをしているのではなくて、ワタシ達の暗い足元を照らす明かりとなって、ワタシ達の帰り道を見守ってくれているだけなのだから」
「ホントに?」
ボクの頭を撫でるママの方を見上げ、ボクは訊ねた。
そんなボクに対して、ママは優しく微笑んできた。
「ホントよ」
「じゃあ、月が居れば夜道も安心なんだね!」
「ええ、そうよ」
興奮しながら言うボクに対して、ママが優しく微笑みながら頷く。
そして、ママはボクの手を握った。優しく、しっかりと。
「だから、安心して帰りましょう」
「うん!」
ボクが頷くと、ママもボクも、再び夜道を歩き始めた。どちらからともなく。
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