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夜道に潜むストーカー
夕陽が沈んで月が顔を出してきた頃に、ボクはママと二人で夜道を歩いていた。
科学館に行った帰り道であり、今は真っ直ぐと家へ向かっている。
「科学館、どうだった?」
「楽しかったよ!」
ボクの方を見下ろしながら、優しく訊ねてきたママに対して、ボクはママの方を見上げながら素直に答える。
その時、視界の端に、黄色くて丸い月が映った。先程から、何度もボクの視界へと入ってくる。
月は、ボクとママの後を、先程から付いてきている。まるで、ボクとママのストーカーの様だ。
ボクは立ち止まり、思い切ってママに言った。
「ママ!さっきから月が、ボク達の後をストーカーみたいに付いてきているよ!!」
「月が、ストーカー?」
ボクと同じく立ち止まったママは、そう訊き返してくるなり、可笑しそうに笑っていた。笑っている場合ではないというのに。
仕方なくボクは、再び危機感たっぷりに、ママへと言った。
「うん、ストーカー!このまま、家まで付いてこられたら大変だよ!!」
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