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ぶるっと、身震いを起こすと同時に、自然と腕を伸ばそうとする自分に気づいた。
「そ、それで、今は何時なのだ?」
「ん―と……6時、10分前だね」
わざわざ時計をアレクに見させ、気取らないようにする。
気持ちのままに、甘えればいいものの、まだまだ初々しい所がある2人には、酷なようだ。
「「…………。」」
会話がなくなり、先程までとは違った沈黙が訪れる。
エリスは、どうしたものかと、視線を泳がせ、
対するアレクは、そんな彼女の様子を、じっと見ていた。
「うー……」
「うん?」
何か言いたげな彼女に、言葉を促す。
そうでもしないと、彼女が遠慮してしまうからだ。
「ええと、だな……」[ガタッ]
あと少しで、彼女の胸の内を聞ける所で、物音が邪魔をする。
それも、ドアの辺りから。
「何してるにゃ」
「いったぁ……」
「「……。」」
続いて、ドア越しに、聞き慣れた話し声が……。
それに誘われるように、エリスは、ドアの前まで行くと、勢いよく、引き開けた。
「みゃあ!?」
「きゃっ!?」
ドアに、もたれていたであろう2人は、支えを失い、部屋の中に転がった。
言わなくとも、盗み聞きされていたようだ。
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