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「ニコ、ミーシャ」
「「は、はいぃっ!」」
静かに、はっきりと名指しされた2人は、即座に正座する。
それを見届けてから、エリスは、腕を組み、同じ口調で問い始めた。
「こんな所で、何をしているのだ?」
「あの、その……」
「ええと……」
2人は、しどろもどろになり、まともに受け答えできていない。
後ろ姿からでも感じる、彼女の威圧感を真正面から受けているのだから、仕方ない。
「あ、えーと……、エリス」
「む?」
少し勇気が必要だったが、後ろから呼び掛ける。
疑問符を浮かべながら、振り向く彼女は、思いの外、普通の表情で、ほっとした。
「2人を許してあげなよ。
聞かれて困るようなこと、何も無いだろう?」
「それは許す理由にならん。 これは、主と部下のけじめなのだ」
格好良く、主君らしい台詞を口にしているが、実際の所、2人に邪魔された事を根に持っているに過ぎなかった。
それを、分かっているのか、いないのか、アレクは、食い下がらない。
「結構前に、逆の立場で同じような事、あったじゃないか」
「むぅ、あれか……」
そう。 この城に暮らすようになって、すぐのこと。
ニコから話を聞く際に、エリスが、聞き耳を立てていたのだ。
「だから、おあいこ、っていう事にならないか?」
「ううむ…………まあ、いいだろう」
アレクの言うことも、ごもっともなのか、エリスは悩んだ末、首を縦に振った。
結局の所、彼女は、アレクに弱いのだ。
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