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「という訳だ。 今回の事は、大目に見よう」
未だに正座していた2人に振り返り、やんわりとした口調で言った。
2人は、顔を見合わせ、何度か瞬くと、
「「よ、よかった~」にゃ~」
「そんなに喜ばなくても……」
手を合わせあい、小躍りする2人に、茶々を入れる。
なんせ、エリスのことだ。
あんな風に怒っても、軽い罰を受けるだけで済んだだろう事を、彼女達も知っている筈だったから。
「い~~や、そんなことないよ、お兄ちゃん」
「?」
ちっちっち、と人差し指を左右に振り、何故か得意気なニコ。
どういうことだ?
実は、怖ろしい罰を罰を科されるとでも、言うのだろうか?
その問いは、彼女の代わりに、ミーシャが答えてくれた。
「にゃ……一週間、一食抜きの刑なのにゃ」
「なるほど」
一瞬で納得した。
食事。 それは、彼女等にとって、死活問題だからだ。
……でも、まあ……。
「……。」
「む、何だ?」
ちらっと、エリスに目を向ける。
“一食”抜きだとか、“一週間”という所に、彼女の優しさが表れているようで……。
「……何故にやける? おいっ、こら」
馬鹿にされていると勘違いしているのか、彼女は少しご立腹だ。
笑いを堪えながら、ふと思う。
「~~~~っっ」
やっぱり彼女は、誰にでも自慢できる、1人の女性であると。
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