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……
…
最上階、エリスの部屋。
実を言うと、彼女の部屋に足を踏み入れたのは、これが二度目だったりする。
だからどうした、という訳では無いが、前に入った時よりも、何かしら、違うような……。
そんなことを考えながら、彼女をベッドに降ろす。
「何時間でもいいから、眠った方がいい」
「……。」
毛布を被せながら、無言の彼女を諭す。
彼女が脆弱とは言わないが、疲れが溜まっていることに、違いはない。
「お休み、エリス……」
「っ……」
「……どうしたの?」
立ち上がりかけた所で、腕を掴まれる。
それが何を意図するのか、分かっているくせに、問うてしまう。
「……眠るまででいいのだ。 ここに……」
「わかった」
皆まで言う前に、俺は彼女の手を取った。
すると、ぴくりと一度震え、目線をあらぬ方向に向ける。
わかりやすい照れ隠しだ。
笑いをこらえながら、余った方の手で、頭を撫でる。
「……ぅ……」
小さく呻くも、彼女は、されるがまま抵抗しようとはしなかった。
それどころか、両目を閉じ、身を委ねてくれている。
そのまま、ゆっくりとした時間が、過ぎていった。
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