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「……ふ、は……」
長い口づけの後、ようやく離れることができた。
顔が熱を帯び、赤くなっていることが、自分でも分かる。
エリスは、悩ましげに息を吸ったかと思うと、
「……。」
「!?」
舌を出し、唇をぺろっと舐められる。
まるで、名残惜しいと伝えているかのように。
俺は当然、挙動不審になるどころか、さっきまでと同様に、硬直していた。
「ふ、ぁ……」
彼女は、小さく欠伸をし、うつらうつらとなる。
メトロノームのように、前後に揺れ、最後にはベッドの中へ……。
(って、二度寝!?)
つっこむ間もなく、再び、静かな寝息が聞こえてきた。
動く者がおらず、部屋に脆弱が訪れる中、アレクの心音は、激しく脈打っていた。
少し落ち着きを取り戻し、彼女に視線をやる。
「……はあ」
思わず溜め息が出る程、熟睡中だった。
しかも、ご丁寧に服の袖を掴んで。
このままでは、先程の二の舞だろう。
どうにか彼女を起こそうと思ったが、寝起きの悪さを考えると、分が悪い。
どうしたものかと、悩んでいると、ふと、“ある出来事”が頭をよぎる。
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