疲労困憊、魔王様

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              エリスとニコが、喧嘩していたことだ。 いや、重要なことは、喧嘩ではなく、その理由の方。 2人の言い争いの台詞を、幾つか取っていくと、どうも、食べ物が理由のようだった。 確か、プリンがどうこう言っていた。 主に、エリスが。 こうなると、話は早い。 これらの記憶、経験が、まだ彼女の中にあれば、関連することを耳にすれば、反射的に飛び起きるかもしれない。 「エリス、プリンが食べられてるぞ」 「何だとぅっ!?」 目をかっ開いたかと思うと、きょろきょろと、周りを見渡し始める。 効果は抜群のようだ。 「おはよう、エリス」 「! アレク、我のスイーツを知らんか?」 こちらに気づくと、真顔で、そんなことを聞かれた。 心なしか、焦りが伺える。 「何のことか分からないけど、それは夢と現実が、ごっちゃになっていると思うよ」 自分の犯行だと言うのに、涼しげに説明するところは、名演技と言っても過言ではない程だ。 「う、む……夢、夢か」 流石に、彼女も自分が寝起きであることを理解したのか、彼の言葉に納得する。 と、同時に、アレクの夢も、見たような気がして、それとなく、彼に視線を向けた。               
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