1565人が本棚に入れています
本棚に追加
エリスとニコが、喧嘩していたことだ。
いや、重要なことは、喧嘩ではなく、その理由の方。
2人の言い争いの台詞を、幾つか取っていくと、どうも、食べ物が理由のようだった。
確か、プリンがどうこう言っていた。
主に、エリスが。
こうなると、話は早い。
これらの記憶、経験が、まだ彼女の中にあれば、関連することを耳にすれば、反射的に飛び起きるかもしれない。
「エリス、プリンが食べられてるぞ」
「何だとぅっ!?」
目をかっ開いたかと思うと、きょろきょろと、周りを見渡し始める。
効果は抜群のようだ。
「おはよう、エリス」
「! アレク、我のスイーツを知らんか?」
こちらに気づくと、真顔で、そんなことを聞かれた。
心なしか、焦りが伺える。
「何のことか分からないけど、それは夢と現実が、ごっちゃになっていると思うよ」
自分の犯行だと言うのに、涼しげに説明するところは、名演技と言っても過言ではない程だ。
「う、む……夢、夢か」
流石に、彼女も自分が寝起きであることを理解したのか、彼の言葉に納得する。
と、同時に、アレクの夢も、見たような気がして、それとなく、彼に視線を向けた。
最初のコメントを投稿しよう!