1.出会い

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   退屈。時間の経過を忘れるくらい眠かったのか、しかしそれが何故かと訊かれれば、そう退屈だったからだ。もちろん午後(つまり食後)最初の講義だからというのもある。  優人がこの地方大学に入学してもう1年以上が過ぎ、この春に大学2回生となった。  高校の青春の半分以上を勉強に奪われてただ辛いだけだった受験戦争を戦い抜き、高校とはまた別格の自由度とその自由から生まれる責任に戸惑い、自分の不甲斐無さと両親への依存を自覚してうなだれた日々は……今や空の彼方へ。 (なんて……)  全てが初めてで良いにも悪いにも刺激だらけだった1年前とはもう違う。全く無くなったわけではないが、格段に少なくなったのは確か。  慣れとはホント恐ろしいと、しみじみそう思う。 (あー、退屈……)  そう今はとにかく生活に刺激がない。単調で、変わり映えしなくて、成すがままになる感じ。  つまらないのかと訊かれればそうだし、不満が無いと言えば嘘になる。 (けど……)  嫌いじゃない。  彼女が横にいて、なにもなく、ゆっくり……ゆるりと、なんとなく、時間が流れていく。何もない代わりに危うさも無い。  そんな毎日を好んで選んだのは自分自身なわけで、本来文句一つ言えた義理じゃない。  そう、ここには自由が山のようにある。出会い、出来事、小さな冒険、そんな刺激はその気になれば自分から探しに行ける。  選んだとはそういうことで、意気地無しで甲斐性無しの末路が今の自分であるとわかっている。  
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