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「……ここまできた計画、あんな男一人に邪魔されてなるものか……」
一人呟くようにそう言って彼女はブランデーを一気に呷る。しかしまだまだ彼女の不機嫌は治らず、グラスが乱暴な音を立てて机に置かれる。
「室長、あまり飲酒されない方が……」
「上には私が掛け合う。手段は問わないわ、阿達を探し出しなさい。そこに“アレ”もいる」
「えっ……はい?」
「実験動物<モルモット>になりたいの!? さっさと動けっ!!」
いきなりの彼女の絶叫に震え上がった部下は、返事もせずに慌てて部屋を飛び出した。
独りになった部屋で、彼女はまたブランデーを呷る。
「逃がさないわよ──イヴ」
叩き付けた時に机から落ちた画像に写る少女を見下ろし、奥瑪はそれを睨み付ける。
それはまるで蛇のように、見る者に畏怖を植え付ける。そんな獰猛な表情だった。
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