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時同じくしてパリ
「行ってらっしゃい」
手をふって夫を送り出した。
「さて、買い物にでも行きますか」
朝のニュースの特集を聞き流しながら、今日の広告に目を通す。
「あ、今日は鳥もも肉とレンコンとコンニャクが安いわね、よし筑前煮でもつくりますか」
広告をたたみながら、財布を確認する。
「最近どうも出費が激しいからきよつけないと」
多少ブカブカの割烹着を壁にかけ、いつものスーパーに向かって歩き始めた。
「帰りに、新作のケーキでも食べよ♪」
「さて、買い物も済んだし食べに行こう♪」
筑前煮の具材を買い終えて、いつものカフェで窓際の席につく。
新作の到着を待っていると、外で一人の女性が老人に捕まっている。
「………止めなきゃ」
荷物を席におくと、外に駆け出した。
「やめなさい、バドラー」
「お嬢様!いけませんこんな貧相な街に来ては」
お嬢様?
老人は高そうなスーツに身を包んでいて、いかにも執事みたいだが、女性の方はジャージ(ナ〇キ)だった。
とてもお金持ちに見えない
女性が辺りを見渡し、私を指差し一声
「私、あの人が好きなの」
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