4176人が本棚に入れています
本棚に追加
私の着ていた薄いランジェリーはめくれ、晴にぃの指先が、直接傷に触れている。
それが、とても艶かしく思えて、私は暗がりの中、頬を高揚させた。
間近でぼんやり見える晴にぃの顔の輪郭を、ゆっくりとそっとなぞりながら、
私は急激に込み上げてくる、やるせない気持ちを、ひとりやり過ごした。
晴にぃ…。
誰も知らないけど、
あたしは晴にぃを愛している。
この結婚だって、伯母さんから聞かされた時、嬉しくて胸が踊った。
晴にぃもその場で承諾してくれたこと、夢みたいだった。
晴にぃが、形だけでもあたしのものになる。
しかも、あたしの誕生日の日に。
それは、あたしにとっては何よりも嬉しいバースデープレゼントだった。
晴にぃの心がどこにあろうと、
あたしはいいの。
晴にぃの側にいられれば、それでいい。
でも、いざ、晴にぃに抱かれるとなったら、体がすくんだ。
晴にぃが今まで関係を持っていた、色んな女性と同じようにはなりたくない。
愛はなくても、
晴にぃの"特別な存在"なんだと思いたかった。
だから、あたしと結婚したんだから、他のひととは、しないって即答してくれて、すごく嬉しかった。
つい、本心が顔に出そうで、焦ってしまった。
晴にぃに本当の気持ち、ばれるわけにはいかないのに。
お互い愛はなくとも仲良くし、
お互いの過去を詮索せず、
お互い今を大切にする。
そんな約束をあたしたちは交わして、結婚したのだから。
最初のコメントを投稿しよう!