晴生~その②

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蒼子なりに、俺との夫婦としての生活を、真面目に真摯に取り組みたいと思い実践していこうとする意志が、強く見受けられた。 それが、かえって俺の気持ちを複雑にする。 俺は、蒼子の過去を、はっきりとは聞いていない。 預かった当初は、 蒼子がこんなに長く同居することは想定に入っていなかった。 伯母からも、 とりあえず預かってほしい…と言われていたし。 いくら年が離れていて、 親戚だとはいっても、男と女。 俺の方は、数回、まだ幼児だった蒼子に会ってはいたが、 蒼子からしたら、俺は見知らぬ男だ。 すぐに嫌になって出ていくだろう…なんて、思ってもいた。 叔母からの頼まれ事は、一切断れない俺としては、 蒼子のほうから、断りを入れることを、密かに望んでいた。 だから、詳しい事情を聞かなかった。 深く関わるつもりなんて、 全くなかったんだ。 なのに、蒼子は…。 仕事場へ行く道すがら、 毎日のように蒼子のことを考えている自分がふと可笑しくて、俺は口元を押さえた。 歩きながら、ひとりでニヤリとするのは、かなり不気味だ。 家から、仕事場のヒジネスホテルまでは、徒歩で10分程度だった。 知り合いや、仕事仲間に、緩んだ顔を見せたくない。 俺は、鉄仮面で通っているし、 仕事場では、責任ある仕事についている。 いつ何時でも、気を抜いている姿を見せる訳にはいかなかった。
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