蒼子~その②

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「蒼子、もうひとつの噂話知ってる?」 授業開始5分前のチャイムと共に、教室に入ったあたしたちは、窓際のいつもの場所に並んで座る。 「知ってるよ。それは。」 「お前らが、デキてるって話だろ?」 突然、前に座っていた男子が、振り向き様に話に割って入ってきた。 「氷の美少女と日だまりの美少女…相反する2人がいつも仲睦まじく連れ添っているんだから。 2人とも、男の影はないし、怪しまれても仕方がないんじゃないの。」 「やだな、木下(キノシタ)くん。 蒼子は確かに美少女だけど、私は違うよ、普通だもん。」 美咲が、顔を真っ赤にして、あたしたちと1年の時からクラスが一緒で、何かと絡んでくる、見た目も行動も軽い雰囲気全開の木下に、反論する。 「いや、美咲ちゃんは、この女の側にいることで、更に輝いてみえるんだよ。この女の冷たさを、和らげてるっていうのかなぁ。 こいつから笑顔を引き出せるのも美咲ちゃんだけだろ?」 「木下。」 あたしは、木下のほうを見ずに、ピシャリと言った。 「毎回、うるさいよ。 あたしたちに絡まないで。」 「俺は、美咲ちゃんと話を…。」 「先生きたよ。」 いいタイミングで現れた先生に珍しく感謝しつつ、あたしは、冷たく言った。 「蒼子…。」 美咲が、ハラハラしながらあたしと木下を見比べている。 不服そうな表情をあたしに見せつつ、木下は前を向いた。 あたしは小さくため息をつく。 木下は1年の時から、あたしに度々ちょっかいを出してきて、挙げ句に、2年の終わりに、あたしのことが好きだと告白してきた。
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