晴生~その①

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「そうだな…それじゃあ、ヤったことにしておくか。」 「え…?」 「だから、そんな不安そうな顔をするな。 籍入れたからって、お前の気持ちを無視して、しようなんて俺はこれっぽっちも思ってないから。」 「本当…?」 蒼子の表情が少し柔らかくなる。 「こういうことは、お互い納得した上で…じゃないとな。」 「でも、あたし…。」 また、蒼子の眉が、ぴくりと動き、何かを懸念していることがわかる。 「晴にぃが、他のひとと…エッチなことするのは、嫌…。」 「わかってる。しないよ。」 俺が即答で、断念すると、 こっちがびっくりするほど嬉しそうに、蒼子は頬を緩ませた。 白い肌が、ピンク色に染まる。 「よかったぁ。」 蒼子の瞳が潤む。 「晴にぃとちゃんと夫婦になれるように、努力するから。 もう少しだけ、時間ちょうだい。」 蒼子の全身から、心底ホッとしたことが、空気を伝って俺に届く。 「よかった。」 もう一度、そう呟き、それから蒼子は、俺に寄り添うように、体を横たえた。 背中に、さっきよりもはっきりと、蒼子の温もりを感じた。 正直なところ、抱いてしまいたかった。 蒼子に感じている気持ちがなんなのか、 抱いたら、蒼子の全てを受け入れたら、わかる気がしていた。 いつからだろう。 ずっと子供だと思っていた蒼子を、"女"として意識するようになったのは。 蒼子を預かった当初、平気で添い寝だって出来たのに。
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