懐妊

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しばらくして、急に実方さまが来た。 「お子が出来たと知らせが来たのですが、真ですか?」 「はい…。」 私は恥ずかしくて、袖で顔を隠しながら消え入る様な声で答えた。 実方さまは、私がしとねの中にいるのを不思議に思い吉野に聞いた。 「姫の加減が悪そうだがー。」 「いえ、姫さまはつわりというものがあるだけにございます。ご心配にはおよびませぬ。実方さま、この度はおめでとうございます。来年の桜が咲く頃には、お子のお顔が見れることでしょう。」 吉野の言葉を聞き実方さまは安堵し、改めて子が出来る喜びを噛みしめているようだ。
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