縁談

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「そなたも、あまたいる都の姫の中でも美しいと、若いものが噂しておる。実方どのにふさわしい。のぅ、吉野?」 どうも、実方さまは私の噂を聞き興味を持ったのだろう。 「はい。姫さまほど美しさは並ぶものはいませぬ。実方さまとのご縁が決まれば、姫さまの乳母として鼻が高こうございます。」 吉野は、目を輝かせて言った。 「由宇や。確かに実方どのには北の方がおられる。しかし、そなた程の美貌を兼ね備え、子が授かれば北の方と同じ様に大切になされよう。そうなれば、我が家も安泰じゃ。そなたの母も喜ぶであろう。聞き分けてくだされ。」
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