46人が本棚に入れています
本棚に追加
「そなたも、あまたいる都の姫の中でも美しいと、若いものが噂しておる。実方どのにふさわしい。のぅ、吉野?」
どうも、実方さまは私の噂を聞き興味を持ったのだろう。
「はい。姫さまほど美しさは並ぶものはいませぬ。実方さまとのご縁が決まれば、姫さまの乳母として鼻が高こうございます。」
吉野は、目を輝かせて言った。
「由宇や。確かに実方どのには北の方がおられる。しかし、そなた程の美貌を兼ね備え、子が授かれば北の方と同じ様に大切になされよう。そうなれば、我が家も安泰じゃ。そなたの母も喜ぶであろう。聞き分けてくだされ。」
最初のコメントを投稿しよう!