1年前

2/2
前へ
/54ページ
次へ
暦の上では冬が終わり、うららかな春風が桜のつぼみを揺り起こそうとしていたとき、僕はもうすぐ高校3年生になろうとしていた。 「学校ダルっ」 僕は相変わらず、学校へ続く長い坂道をだらだらと登りながら、同じ言葉を毎朝繰り返しつぶやいてた。 市外の進学校に通っていた僕は帰宅部一筋2年間 特にやりたいこともなく 部活や委員会に入るでもなく 夢もなく 進路のことで親としばしば衝突を繰り返し 家にいるのも苦痛になり 夜には家を飛び出して悪友達と遊び歩き 犯罪スレスレのことまでやった。 そのことが先生にバレ、親に伝えられ、喧嘩して、家を飛び出して。 最悪の悪循環 しまいには警察にもお世話になった。 そんな荒れた生活をしていた。 学校は嫌いではなかったが 進学校ということもあり 基本的には真面目な周囲との温度差を感じて なんとなく馴染めず なんとなく勉強し なんとなく学校生活を送っていた。 そんな人生だった。 そんな人生だと思っていた。 3月4日までは
/54ページ

最初のコメントを投稿しよう!

6人が本棚に入れています
本棚に追加