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「うん、今日は行けないかなーって思ってたんだけど、どうしても行きたいって…」 そういって、君が体をずらすとその後ろから、今まで見えてなかった、女の子が一人。 笑みを浮かべ、こちらをみて会釈した。 まさか… やめて… またなの…? もう何も聞きたくないよ… そんな俺の心の声は全く聞こえないかのように、君がはにかみながら、俺の希望をバッサリ切り捨てる言葉を告げた… 「えっと…俺の彼女のまゆちゃんです。ともくんの話したら、会いたいってことになってさ。」 ねっと顔を見合わせてにっこり笑い合う二人を見ているのが辛くて思わず顔を背けたくなる… でも、それは絶対に悟られちゃダメだということだけは分かっていたから… 毎回、毎回…君が新しい彼女を連れて来る度の定型文を声に乗せた。 「そうだったんだ。初めまして。かずが何言ったのかが怖いところだけど…噂の山下です。…ホント可愛いい子だね…」 これでもかって程に、営業スマイルを付け足し、最後だけ少し甘めに聞こえるように、囁いた。 「えっと、まゆちゃんって呼んでもいいかな?」 俺がそう言うと今まで惚けたようにこちらを見ていた彼女がブリキ人形のように、コクコクと頷いた。 かかったかな…? かずの方を見ると少し眉間に皺を寄せてこちらを見ていた。 そんな顔をするのならば、連れてこなければいいのに… これも毎回思うことだった。
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