出会い、別れて

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「───」 月の光が 彼らを照す 黄髪の騎士は カシャリと歩み寄る 腰には刃物 鋼の鎧は傷ひとつなく 光を怪しく跳ね返す 葵い瞳は 真っ直ぐに私を見つめる 剣身は70㎝ほど 伸長はあちらが上…… 「君が 魔協会の隊長───」 「いいや、 僕は 零隊副隊長 並びに騎士団長を勤ている エプシロン・ グランドリースと言うよ 特技は……んー…」 どうしたのか? 一瞬思考が停止する 名乗って まさか特技まで言おうとしている このエプシロンと言う男は なかなか… えっと 「へんなひと……カナ?」 「なっ!?」 エプシロンは固まる 「セン君…貴女はなかなか ひどいこというんだね」 「ふふ…はははっ!」 なんだか 今のエプシロンの顏が 面白かった はぁ とエプシロンは溜め息 なんて、 そんなことしてる場合じゃない 「エプシロン 質問があるんだ」 「あぁ、 君が何者なのか 僕が何者なのか なぜ魔協会が勝を狙うのか 勝の望みから 勝が今から何をするか どんな大罪を犯すか いまの僕は機嫌がいいから なんでも教えるよ」 大罪 そこに引っ掛かった 「君の知りたいのは これくらいかな 今頃 僕以外の隊は 過路炉勝を追っているだろう 急がなければ きっと危ない─────」 銅貨を投げつける 破裂しそこに 魔力を通した傘を振りかざす バキィ、という 鈍い音をたてながら エプシロンを壁に叩きつける 頭より先に 体が動いた 私が何者なのか エプシロンが何者なのか そんなことより 勝のあとを追っている と言うことは 勝はいま、 私の家にいないと言うこと あの疲れきった体で 私に迷惑かけまいと 遠くに身を引いたのだ 「───まさか いきなり来るとはおもわなんだ」 エプシロンは頭から血をながし 冷静に現状を把握した
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