出会い、別れて

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「───…!」 腹が抉られる 服は破れて そこから肉が見えている センがみたら 気絶するか? シグマ・イクリプス と呼ばれる女は 槍を使う 「センは 俺に心の強さと儚さと 命を教えてくれた」 指を鳴らす 一瞬、魔力を逆流させて 一時的に 相手をパニックにさせられる そんな魔術を 指をならして使う 我ながら上達したもんだ 「センは俺に 人間の優しさと 暖かさを教えてくれた」 そのすきに こめかみを軽く殴り 気絶させる みるかぎり 残り40人弱 殺すのが一番手っ取り早いけど 殺すのはいけない センが教えてくれたんだ 「センが教えてくれた 人に憧れる大切さと 人を好きになることを」 一瞬で間合いを積める 足払いで シグマを宙に浮かせて お姫様だっこの様にキャッチ 宙に浮いた槍もキャッチ 「だから、お願いだ もう、頑張ってる人が 傷つくのは嫌なんだ…」 「─────」 シグマをおろす 槍は返さない 「手を引くなら これを返すから」 シグマの可憐な顏は 今にも泣きそうな 男にとって なんとも言えない感じの 顏になってしまった 「ごめんな、 ほら、返す だから、頼む もうおってこないでくれ」 ポン、と頭を撫でる 青く、長い髪は 優しく風で靡く 槍を返す シグマは ただただ ぼぅ、と 俺を見つめていた
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