出会い、別れて

13/13
491人が本棚に入れています
本棚に追加
/138ページ
『手紙の書き始めって 作文とかと同じく なかなか考えさせられるよな』 全身に14本、 剣が刺さる 『いや、すまないそれだけなんだが この手紙を見ている頃には もう俺は 多分この世にいない』 辺りには 草原 桜の樹が一本だけ立った 広い草原にいる 『俺は命と引き換えに 禁忌の魔法を使う いや、心配ない どうせやらなくても この日に死ぬんだから』 そのなかで 剣を一本、一本 確実にぬいてゆく 『さて本題 美空千は もともと女だったんだ いや、無理してでも 理解してもらう これはこの先ずっと センが生きてくなかで 一番大切なことだから いや、一番は 人を好きになることだけどな』 傷口が焼ける 体は既に満身創痍 いや 死んだ体を 魔力で動かしている 『記憶を消したから 覚えてないと思うけど 昔、俺の事故を センが身代わりになって 死んでしまった ごめん 謝って済まないと思ってるけど 本当にごめん』 目の前には 1人の男 魔協会最強の男 『そのとき センに 強くあってほしかった俺は センの性別を変えた ごめんなさい』 倒さなければ 魔方陣はこの先に 隠してあるから 『だから 今からリセットする 魔協会は 俺を止めるために 間違いなく センを人質にとる センは強い しかし、 もしもがある だから その部屋に 結界を張った 爆弾が爆発しても 微動足りしない 最硬の盾だ そこから動かないでくれ』 俺が死んで センがこの先 確実な幸せがあるのなら 俺の命など安いものだ 喜んで受け渡す セン、好きだ そのことばが言えたら どれだけ いや その言葉で センに 曇りを与えるならば 俺は 『最後に一つ』 「これが 本当に 人を好きって思うことだ」
/138ページ

最初のコメントを投稿しよう!