491人が本棚に入れています
本棚に追加
/138ページ
景色が変わる
広い草原に
一本の
桜の樹がたっている
男はいない
ただ1人
草原に立っている
景色が変わる
1人の小さな男の子
1人の小さな女の子
桜の木の下で
二人
恥ずかしげに
指切りをしている
だから
思い出した
ここは
忘れてはいけない場所
私にとって
本当に大切な
約束の場所だって
「──まってください」
気配もなく
幼い声は
私を呼び止めた
「イスカ」
名前をよぶ
手には
弓と矢が構えられて
いつでも
私の首を持っていける
「ミソラお姉様は
なぜ過路炉勝を追うのですか」
幼いからか
まだ完全に
感情を殺しきれてないのか
イスカの声は
ひどく震えている
最初のコメントを投稿しよう!