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『さて、美優はこの部屋、菜美はこの部屋に入ってくれ。』
ゲーセンに着き、俺達は早速ファンタジアを始めるべく、それぞれの部屋に入る。
「なにこれ!?」
「やだっ変なカンジ!」
美優と菜美が口々に叫ぶ。
ただでさえ慣れてないゲームの世界に、自分が入っているのだ。無理もない。
「さぁ、先に進むぞ。おいで。」
直人は菜美の手を取り、先に進んでいく。
このゲームは、俺達の分身がアニメのキャラで表示されるのだが、プレイヤーの心情や表情を読み取って画面上に表れるという、素晴らしい機能を備えている。
「勝利、この先の森を越えたら町だ。そこで落ち合おうぜ。お前は美優と来いよ。」
『ん、あ、ああ…。』
しょ、しょうがねぇなぁ。
じ、じゃあ俺は美優を…。
「勝利…。」
み、美優…?
俺は一瞬、ドキッとした。
美優が不安そうな顔をして、俺に手を伸ばしていた。
美優とはガキの頃からの付き合いだが、こんな思いは初めてだ。
『お、おぉ。俺から離れんなよ。』
手を繋ぐ感触まではないものの、俺は(アニメの)美優の小さな手をしっかりと握った。
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