生きる、それは亡き君の為・・・

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川原の向こう岸に立っていたのは雪姫だった。 生前と同じように優しい微笑みを浮かべて半兵衛を見つめている。 「本当に雪姫なのかい?」 『そうですよ、半兵衛さん。私は雪姫です』 途惑いがちに尋ねてくる半兵衛に雪姫はそう答える。 雪姫が姿を見せると思っていなかった半兵衛は思わず固まってしまう。 そんな半兵衛を見て雪姫は緩く微笑む。 『半兵衛さん、私、貴方の事が大好きです』 「え?」 雪姫の言葉に半兵衛は驚いた表情を見せる。 その様子を気に留めずに雪姫は言葉を続けた。 『貴方と出会って一緒に居られて私は凄く幸せでした。 他の人から見れば一緒に過ごした時間なんてとても短かったかもしれません。 それでも、私にとっては何物にも代え難いとても大切な物です・・・』 「雪姫・・・・・」 ポツポツと言葉を紡ぐ雪姫を半兵衛は愛しそうに見つめた。
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