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ジーク「楽しめよ、と言われてもな。」
俺はラロウに無理矢理トラックから降ろされ、街を彷徨いていた。
ジーク「帰るにも距離が遠いし、金も無い。帰ったら覚えていろよラロウ。」
そんな事を1人でぶつぶつ言いながら、30分街を歩き回っていた。このまま、基地に歩いて帰ろうかと考えていた時、後ろから声をかけられた。
女の声「あ、あの・・・すいません。」
振り返って見ると、どうやら同じ基地の制服を着てたのでウェムド基地の訓練生だろう。ショートカットの女の子だった。歳は俺と同じくらいだろう。
女「道に迷ったんで、道教えてくれませんか?」
女の子は少し照れながら聞いてきた。
ウェムド基地 格納庫
ラロウ「おーい、ギルのおっさん頼まれた物買ってきたぜ。」
ギル「おう。すまねぇなラロウ。」
ラロウ「いやいや、おっさんにはいつも世話になってるからな。これくらいいいって。」
ジルシー「珍しいなお前が人の為に動くなんて。」
ラロウ「ジルシー教官も居たんですか?」
ジルシー「ああ。ところで、ジークを知らないか?また、テンペスタの所に居ると思ったら居なかったんでな。」
ラロウ「いや~、実はジークを街に置いてきました。」
ジルシー「いや~、じゃないだろ!一応、安静にしておくように言ってたんだぞ!」
ラロウ「たまにはジークも息抜きがしたいかなと思ってですね・・・」
ジルシー「まったく・・・お前は勝手な事ばっかして。今すぐ連れて帰って来い!」
ラロウ「はい!」
ジルシーに怒鳴られ、ラロウは飛ぶようにして再びトラックで街に向かった。
オムロ街
ジーク「何で道に迷ってたんだ?」
女「友達と買い出しに来てたんです。それで、ボーッとしてたらはぐれて、探しに行ったら今度は道に迷ったんです。今日は災難な日ですよ。」
彼女は少しマイペースな所があるようだ。と、ジークは思った。
ジーク「で、何処に行きたいんだ?え~と・・・?」
女「あっ、すいません。まだ自己紹介してませんでしたね。私、ユリ・グレイセルです。」
ジーク「俺の名前はジーク・レイヴンだ。よろしく。」
ユリ「よろしくお願いします。で、行きたいのは噴水のある広場です。そこではぐれたんで。」
ジーク「そういや携帯はどうしたんだ?」
ユリ「えっと、忘れて来ました。」
ユリはそう笑いながら答えた。
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