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「…この部屋の事、お願いします…」
暗に、彼女がこの部屋を出て行くのだと悟る。
その内に、もう二度とこの部屋で彼女に会うことはないのだと思い知らされた。
嗚呼、本当に最後なんだ、これで終わりなのか、と思ったら、彼女との思い出が走馬灯の様にグルグルと頭を駆け巡る。
出て行くと言った彼女に、何も言えないでいた俺を見て、彼女が声を出さずに泣いた。
はらはらと零れ落ちる涙を拭うのも、泣き出して震える肩を優しく抱き寄せるのも、もう俺の役目では無い事が酷く悲しかった。
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