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「コレ、お前にやるよ。」
ポケットに突っ込んでいた侑士の手を無理矢理抜き出し、握らせた。
その後に侑士は、無理矢理閉ざされた手の平を広げ、真ん中にある小さなバッチを見つめた。
しばらくして、侑士はこちらに向き直した。
「男子って……好きな女子とかに、第二ボタンとかやるんだろ!?だが、うちはブレザーだからそのバッチを………」
「ハハッ!!!」
はぁ!?!?
コイツ笑ってやがる…?
「おいっ!!なんで笑ってやがる!!!!」
「あぁ……ごめん。いや、な?まさかお前がそんな可愛い事するとは思わんかったからさ。」
そう言って、侑士はまたクスクスと笑いだした。
「そっ……そーゆーもんなんだろ!?!?かっ…返せよじゃあ!!!」
やべっ……すげぇ恥い…
バッチを取り返す為に腕をのばす。
しかし、器用に侑士はそれをよけた。
「……いやや。もう俺のもんやから。ありがと。」
そういって、侑士は片方の手で俺の頭をわしゃわしゃ撫でた。
喜んで……もらえたのだろうか……?
「これ持って、待っとくな。」
そう言うと、侑士はまた歩きだした。あの大きな背中をこちらに見せて。
侑士………愛してる。
だから、待っててくれよ。
“いざさらば”
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