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女子の間を抜けても、まだ侑士は俺の手を引っ張った。
左手は侑士のぬくもりに包まれてて………右手はまだバッチを握りしめている。
侑士のぬくもりを実感している今………
この時間が終わらなければいいのに。
そんなの、ただの願いにしかすぎねぇが。
卒業すれば、毎日会えなくなる。
侑士と俺は、付き合っている。……だけど、そうだとしても、離れてしまえば毎日なんて無理だ。
俯いていた顔をあげてみると、侑士の背中が見えた。
侑士の背中、でっかくなったな………
初めて出会った頃なんて、まだまだ心も体も未熟で。
些細な事で喧嘩しちまったり、相手の事なんか受け入れらんねぇ反抗期。
そういう経験を重ねて、俺たちは大人になる。
侑士も経験を重ねて、今ではこんな立派になっちまいやがった。
毎日毎日………
長いようで短いこの6年間は……今日、終わりを迎える。
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