55人が本棚に入れています
本棚に追加
*****
侑士が足を止めた。
懐かしいあの場所が、目の前に広がっている。
「やっぱ……ここか…」
「景吾と最後に行くなら……ここしかあらへんやろ?」
紫色に染められた、あそこ。
俺達が初めて出会った、あの場所。
コートだ。
「ラッキーやなぁ。卒業式の日は中等部は休みやし、クラブも無いから独り占めやで?」
風がザァッと吹く。
誰もいないコートを見つめる二人………そんな二人の髪を静かに風は揺らしていった。
「……入ろか。」
侑士が呟いた。
「はぁっ!?鍵かかってるに決まって………」
入れる訳ねぇだろ!?!?
「………ちゃうって。柵……俺らなら……出来るやろ?」
はぁ………?
最初のコメントを投稿しよう!