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"何だよこれ…"
少年はとうとう歩くのをやめた。冷や汗が頬を伝って滴り落ち、心臓は音もなく鼓動を速める。
"ちくしょ…!!"
と叫んだ。
はずだった。
しかし、喉から声は出ず、代わりにキーン…という耳鳴り。
次の瞬間、遠くで何かが輝き、ものすごい風が吹いて少年を吹き飛ばそうとした。
その風の音は少年の耳をゆさぶり、直後襲ったとてつもない光が、その目に焼き付く。
地面は消え失せ、支えをなくした少年の体は、あっけなく風に飲み込まれていった。
"くっそ…飛ばされる………何とか…誰か――――!!!"
その時、見知った姿が遠くにちらっと見えたように感じた。
「なぎさあぁ!!!!!」
強く強く、少年は叫んだ。
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