序章b‥朝

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さわやかな風と雀のさえずりが、心地よく部屋に入ってくる。 握りしめた手をほどき、ゆっくりと目を開いた。 「…疲れたな」 呟いて、辺りを見渡す。 夏の始め。窓は昨日の晩から開けっ放しで、やわらかな光が、部屋いっぱいに溢れている。 外では、気の早い蝉たちが、競うように鳴いている。 「あ~ぁ、夢かよ…」 かなりほっとして、もう一度ベッドに倒れ込む。 その時、 バン! という衝撃音と共に 部屋のドアが勢いよく開いた。 かまわず目をつぶる。
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