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とある神様は声を聞きました。
「神様、私を殺してください。」
縁側に座った老人は、神様に懇願しました。
「どうして?」
神様は聞きました。
「愛した人を忘れてしまう私を、どうか殺してください。」
残酷な病気を持った老人は、死ぬことよりも恐ろしいと泣きました。
神様は、優しいつもりでその老人を死なせました。
「ありがとう、ありがとう」
神様は感謝されました。
次の日、同じ場所に違う老人が座りました。
「神様、どうか俺の愛した人を返してください。」
「どうして?」
やっぱり、神様は聞きました。
「俺はあの人がいないと、世界が崩れてしまうんだ。」
そうして、老人は、しわくちゃになった顔から涙を落としました。
神様はそのことを知りません。
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